140字SS

【いっそ心中する?】

「また遠征に行かれるのですか?」
 如何に彼女の元気がないか、声を聞いただけでわかる。そうだ、と肯定すると彼女は短いため息の後「……そうよね、変な事を聞いて申し訳ありません」と呟いた。
 オレは将軍であり軍師の身。危険だと分かっている任務でも、身勝手な理由で行かない選択肢を取ることはできない。彼女がどうしてそこまで落ち込んでいるのか、言われずとも分かっている。だから。
「ならば、もういっそ心中でもしてみるか?」
 なんて冗談を交わしては、少しでも彼女の不安を緩和していた事も今では懐かしい。……なあ、そうだろう。オレを置いて逝ってしまった我が愛よ。

2020/01/26

【夢で会えたら】

「昨日夢を見たんだけどさ」
 他愛ない話で盛り上がる部下を横目に、ふと思った。
 ―――そういえば久しく夢を見ていない。激務に追われてゆっくり休む暇もないのだから当たり前だ。夢を見る暇があるなら一秒でも長く寝ていたい。しかし時折思うのだ。あぁ、きっと夢でならアイツにも会えるのに、と。

2020/03/01

【迷子のお知らせ】

!何処へ行った!?あぁクソ、あの阿呆は毎度毎度……」
今日もホメロス様の怒声が城中に響き渡る。足音からもいかにホメロス様がお怒りなのか伝わってくる。はてさて、本日様は何をやらかしたのだろう。いつも思うことだが、様を探すホメロス様はまるで迷子の娘を探す父親だな。

2020/04/11

随時更新・追加します。

Back