科学の子曰く、氷花は赫く燃ゆと。

 とっくに陽が落ちて、夜も更けてきた頃だ。イチジは珍しく私室に妻のウィスタリアを呼び出し、夫婦の時間を過ごしていた。特に夜伽の契約がある日でも無ければ、用事がある訳でもない。ただ、何となく気が向いたのか、それとも単に人と居たかったのか。イチジでさえ理由など分からなかった。急な呼び出しでも、ウィスタリアは嫌な顔ひとつせずその通りに動いてくれる。イチジが会話をせずとも何も言わないし、今も部屋に来るたびに持ってくる季節の花とやらを静かに活けていた。花の名を問えば、徐に振り向き小さく「フリージア、と言います」とだけ呟いてまた花に向き直る。
 ウィスタリアの一挙手一投足は、イチジから見ても完璧で美しいと思う。誰から叩き込まれたのかは不明だが、指先から足先まで洗練された動作は一朝一夕で身に着けられるものではない。暫くじっと見ていれば、何かを感じたのかウィスタリアが再度イチジの方を振り向く。
「……何か」
 ウィスタリアの動きに合わせて、薄紫色の髪が揺れる。まるでよく出来た人形のようだとイチジは思う。自身のように外骨格を持っているわけではないのに陶器のような白肌と、頬や唇に灯る桃色は触れることさえ憚られる程に純粋であり高貴だ。外に出れば、誰しも喉から手が出る程にこれを欲するのだろう。それを所持するイチジはまさに、王者だ。王者が所有するのに相応しい、この世で最も美しい人形。それがウィスタリアという女だと、イチジは認識している。
「いや」
「用事がないなら、見つめるのはやめてくださる?」
「おれがどうしようと、お前に関係ないだろう」
「……居心地悪いのよ」
 ウィスタリアは目を逸らし、小さく呟く。ウィスタリアの指先が、ドレスの裾を控えめに掴んでいた。
「それに、先日の件はまだ許していないので」
 イチジはそれに対して、喉の奥で小さく笑った。先日の件とは、十中八九あれの事だろうとすぐに見当がつく。ジェルマ王国の参謀閣下の事だ。名をベータ・フェム。何故だかウィスタリアは、義姉であるレイジュを差し置いて、いたくフェムを気に入っているらしかった。もちろん、レイジュと仲が悪いわけではない。何度かウィスタリアが所有している温室で話をしている所を見かけた事があるし、茶会なども開いているようだ。けれど、それ以上にフェムと一緒にいる時間が多いという事は誰の目から見ても明らかだった。何かあれば、自分の妻は必ずあれを呼ぶ。夫である、イチジでさえ後回しだった。
 イチジからすれば屈辱以外の何物でもない。自分の所有する物が、自分を差し置いてそれ以外の人間の事を気にかけるなど、あってはならない事なのだ。それを知った時、イチジは激しい怒りの感情が沸いた事をよく覚えている。あれはイチジの物だ。あれが自分以外を優先する事も、気にかける事も、懐柔する事も、何ひとつ許した事はない。けれど、イチジの意思に反してウィスタリアはフェムに対し勝手な行動をよく取るようになった。だから躾け直してやっただけなのだ。あれはイチジや姉弟達と然程変わらない人間兵器だ。その様を中継で見せた。あれが戦場で踊る様を。誰より血腥く、醜く、美しく舞うベータ・フェムの姿を。フェムは戦場でこそ輝く兵器だ。それを忘れているのではないかと、擦り込み直しただけに過ぎない。案の定、ウィスタリアはあれに恐怖した。その様を悟らせまいと必死に隠していたのには可愛げがあったと思う。微かに震える瞳を見せぬように目を伏せ、僅かに力が入った指先をそっとドレスで見えぬ場所へ持って行った判断はさすがとしか言いようがなかった。イチジはウィスタリアのそういった偽りの強さが、存外嫌いではない。ウィスタリアが心底嫌う、人間らしい行動だと思っているからだ。
「さて、何の事やら。全く見当がつかんな」
「趣味の悪い……」
 ウィスタリアが呆れたようにため息を零す。フリージアとやらを活け終えたようで、徐にイチジが腰を掛けているソファへと近寄った。そうしてそのまま、静かに隣へと腰かける。ふわり、と藤の香りがイチジの鼻を掠めた。
「そう言えば殿下。ひとつお願いが」
 思い出したようにウィスタリアが告げる。
「外遊の許可をいただけませんでしょうか」
「外遊?」
「えぇ。気になる祭典がありまして……」
「構わん、何処だ」
 問えば、ウィスタリアは「東の海へ」と短く答えた。さて、東の海でウィスタリアが気にかけるような祭典などあっただろうか。皆目見当がつかない。まあ考えたところで、行けば分かるだろう。イチジはそう思い、深掘りする事はしなかった。
「いつ頃に?」
「明日には発とうかと」
「期間は?」
「一週間ほどでしょうか」
 イチジは自身の一週間のスケジュールを思い返す。一週間程度であれば手帳など見ずとも頭に入っている。特に大きな仕事も無く、あったとしてもニジやヨンジに変わってもらえばいいだけの話だ。戦争の依頼も無い。偶には息抜きに、夫婦とやらの時間を過ごすのもいいだろうと思った。頻繁だと面倒が勝つが、ウィスタリアはそれを知ってか否かこういった提案をする事はほぼ無い。だからこそ、今回の祭典は余程行きたがっているのだと、イチジにも理解できた。
「一週間か。おれも特に大きな予定はない」
「……? あ、えぇ」
「どうした? おれが許可したんだ、何を戸惑う必要がある」
「あの、……もしかして、ご一緒してくださるおつもり?」
「そうだが」
 何を当たり前の事を言っているのだろうか。つくづくおかしな女だ。
「……殿下、その」
 ウィスタリアの目が泳ぐ。想定外の返答にかなり困惑しているらしかった。そうして、数秒程悩み、申し訳なさそうな表情でイチジを見た。
「フェムと行こうかと……約束していて」
 ウィスタリアは静かに告げる。そうして僅かに睫毛を伏せた。それがイチジを気遣ってなのか、それとも後ろめたさを感じてのものなのか、イチジには見分けなどつかない。
「――そうか」
 淡々と告げた言葉と裏腹に、沸々と湧き上がるそれは、決して綺麗なものではなかった。イチジは表情を変えずに徐に席を立つ。燃え上がる怒りを抑える事はこんなにも難しい事だっただろうか。出来るだけ音を立てずに、イチジは部屋を後にした。


***

 イチジは不機嫌だった。それも、類を見ないくらいに。ここまで怒りが収まらない事は滅多にない。木造りの、およそついこの間妃殿下になったばかりの女の部屋とは思えない扉をノックも無しに蹴飛ばした。周囲の侍女が青ざめているが、イチジの気にする事ではない。ベッド、ソファ、テーブル、クローゼット、それに鏡台。本棚、チェス、オセロにその他銃火器、なるほど五番が好むであろう部屋だ。イチジが荒々しく入ってこようとも、部屋の主は驚いた様子もなく平然としている。へらへらと、普段通りの笑みを携えて。
「おや、イチジ殿下。本日はやけに荒々し、」
 ばきり。フェムの言葉が途切れる。イチジは無表情で思い切りフェムの首を片手で締め上げた。みしみしと何かが軋むような音と一緒に、フェムの身体が宙に浮く。侍女の息を呑む音や倒れる音が耳に入るがそんな事はどうでもいい。ばき、と外骨格製の肌が割れる。中身が露出して、血がぼたぼたとイチジの腕を伝った。
「あれに干渉するなと何度言えば分かる」
「げほっ……、せ、説明を要求ッ……、ぐ……!」
「五番、貴様余程死にたいらしいな。過去の貢献に免じて、死に方くらいは選ばせてやる。火花で溶けるか、それともバラバラに壊してやろうか。あァ……ヨンジに止めを刺させるのも面白そうだ」
「一体……何の話だよッ……!」
 どさり。イチジはフェムの首から手を離し、床に投げ捨てた。同時にフェムは、がはっ、とひとつ大きく咳き込み喉から出た血を床に吐き出す。べちゃりと赤い液体が大理石の床を汚した。出来損ないでも、イチジと同じ色の血がこれに流れているらしい。イチジはそのまま項垂れるフェムの頭を足で思い切り押さえつけた。がん、とおよそ人の頭から聞こえていい音ではない金属音が鳴り、フェムの常人より遥かに整った顔が、自身の血で汚れる。
「はぁッ……げほ、あァいいねェ……! その容赦のない攻め、圧、どこを切り取ってもジェルマの最高傑作は一味違う……ッ」
「気色悪い分析はやめろ。このまま頭を割ってやってもいいんだぞ」
「ふ、はは……。そ……の前に少し、時間を頂けませんかねェ。第一王子殿……」
 そう懇願され、イチジは数秒悩んだ後、フェムの頭を一度蹴飛ばしてから彼女の部屋にあるソファへと乱暴に腰かけた。フェムもかなり痛めつけられたはずだったのに、すくりと起き上がり、頭から流れる血をその辺に置いてあったガーゼで拭いつつ向かいに座る。随分と冷えた空間だった。そうさせたのは紛れもなく、イチジなのだが。フェムはそれを気にする様子もなく、また普段通りの笑顔を張り付けている。イチジはそれを一切表情を崩さず睨みつけた。この状況でへらへらとしていられるのは、フェムも感情が欠落している事を物語っている。そうでなければ、周辺にいる侍女のように青ざめたり倒れたり少なからず恐怖を覚えるからだ。そして、更に気持ちが悪い事にフェムは頬を赤らめている。これはこういう生き物なのだ。戦を快楽だと勘違いしているらしい。イチジから与えられる痛みもそう捉えられている。醜い模造品だ。ウィスタリアが美の権化であり最高傑作の人形と称するなら、フェムは出来損ないなのである。
 だが、ウィスタリア我が妻はこの出来損ないの人形を大層気に入っているのが現状だ。イチジには理解できなかった。これはイチジ達と同じ兵器であり、もっと言えばイチジ達よりも劣る兵器であるのに、どうしてそこまで肩を持つのか。あぁこれが王子妃などという面倒な肩書きを増やさなければ、今にでも不敬罪で屠ってやるというのに。
「……外遊の件でしょうか」
 フェムは数度咳払いした後に告げた。イチジはそれには答えない。答えずともどうせこれは話を続けるだろうと思ったからだ。
「いやね、此方も一度は断りました。妃殿下も此方を怖がっておられましたし、それは此方にとっても良い影響ではありませんからね」
 フェムはイチジの反応を見ながら続けた。
「ですが……。妃殿下はああ見えて強かだ。此方の理解出来ない部分を見て見ぬふりなどはしない。寧ろそれを受け入れようとしている。本当は恐ろしいだろうに、全く健気な御方だ」
「それが理由か」
「はい。此度も妃殿下の命で御供する事に致しました」
 イチジは深くため息を吐く。またフェムが勝手にイチジの領域に踏み込んできたのかと思いきや、そうではなかったらしい。紛らわしいにも程がある。とはいえ、イチジの不機嫌が治まる事は無い。フェムが干渉してきているなら対処は容易い。今回のようにお灸を据えるかもしくは、徹底的に叩き潰すかすればいいだけだからだ。だが、ウィスタリア相手にそれをする訳にはいかなかった。あれは誰よりも脆い。イチジが少し力を入れただけで折れる花だ。既に口では何度か警告しているし、ウィスタリア本人も馬鹿ではない。それは理解しているはずだ。ウィスタリアは従順な女だった。イチジが白と言えば白と答えるし、黒と言えば黒と答える(稀に例外もあるが)。ただ、フェムの事になるとどうにも諦めが悪いらしい。一体これの何をそこまで気に入っているのか、イチジには理解が及ばなかった。
「次は無いと思え」
 イチジは立ちあがった。ここに居ても埒が明かない。詳細はやはり、妻から聞きだすしかないのだろう。蹴破った扉へと向き直った時、フェムが言った。
「……僭越ながら殿下」
 イチジは振り返らなかったが、歩みを止める。
「もう少し妃殿下と対話されてみては如何でしょうか。妃殿下はきっと、殿下が思うより貴方様の事を思っていらっしゃる」
「……参謀如きがおれに指図か」
「まさか。此方は心から次期国王夫妻の仲を案じているだけですよ」
「ハ、よく回る舌だ」
 イチジはそのまま部屋を後にして、自室へと戻っていく。
 フェムの言葉には、肯定も否定もしなかった。対話だと? 言われなくとも分かっている。誰に指図される筋合いもない。ウィスタリアに聞けば、フェムに事情を問い詰めるよりも早い事など、イチジがよく理解している。ただ、どうしてもあの時――ウィスタリアがフェムの名を出した時――に沸いたどす黒い、冷徹であるイチジさえも飲まれそうになった名状し難い感情をウィスタリアにぶつけるべきではないと判断しただけだった。理由はイチジ自身もよくわかっていない。壊れるからだろうか。そういう事にしておく。それをフェムにぶつけたのは、躾もあれどあれなら飄々と受けるだろうと仮定しての事だ。イチジの考えや行動に無駄な事は何ひとつとして存在しない。
 それはそれとして、ホールケーキアイランドの一件より以降、やたら召使いや侍女、コゼットまでもがウィスタリアに干渉するようになったと感じる。今までは確実にウィスタリアが一線を引いていたが、本人の中で何かが変わったらしい。その事に関しては、どうとも思わないし、イチジには関係のない事だ。次期王妃として、国民から支持を得ることも仕事のひとつである。幾らジェルマ王国とはいえ、クローン兵以外は一般人であるし、その割合も少なくない。クローン兵ならプログラムで操作できるが、一般人となると扱いの難易度は増す。イチジ達は戦争や任務で多忙であるから、代わりにウィスタリアがそうして国民の信頼を得られるように動いている分には寧ろ、よくやっていると思っている。あれの仕事ぶりは優秀だ。
 ただ、どうにも最近、イチジはやたらとウィスタリアについて声をかけられる事が増えていた。内容はどれも取るに足らないもので「妃殿下はお元気でしょうか」だの「妃殿下がお気になさっていた果物が手に入った」だの、本当に些細で、イチジが気に留める必要もない事だが、妙に違和感を覚えている。例えるなら、ピアノの調律が少し狂っているような感覚だった。別に、ウィスタリアがどうあろうとイチジには関係のない事なのに。頭の中にモヤがかかったような気分だ。イチジの知らないウィスタリアが、この城には存在しているらしい。それがどうして、こんなにも腹立たしい事なのか。気に障って仕方がなかった。あれはイチジの物だ。他の誰でもない、ジェルマの最高傑作を飾る究極の宝飾品おんななのだ。それは例え自分の姉弟だとしても侵してはならない領域であり、干渉する事だって許されない。侍女やフェムのような存在なら尚更だ。そう在るべきなのだ。
(何故このおれが、くだらない事で気を揉まねばならないんだ)
 イチジは、城の外に浮かぶ月を眺めながら、深いため息を吐いた。




***

 ジェルマ本城、科学研究室。真夜中でもここは忙しなく科学者たちが動いている。日々の消耗品である複製兵達の製造には最低でも五年かかってしまう。世界政府加盟国から外れた今、ジェルマ王国と言えども先行きは不透明であり、準備するに越したことは無いのだと総帥が言っていた。フェムは研究室にある簡易ベッドのような場所で治療を受けていた。傍にはヨンジがにやにやと嫌な笑みを浮かべいる。
「なんだ、またイチジを怒らせたのか。しかし今回も派手にやられたな」
 ヨンジはフェムの割れた首筋を雑に触って、その傷の深さにまた腹を抱えて笑った。
「そんなに笑う事かい?さすがに今回はアタシも肝が冷えたよ、死ぬ事に恐怖など無いけどね?あれの威圧はさすが王太子殿下といったところか」
「分かるぜ。イチジって普段怒らない変わりに、怒った時は手が付けられねェ。イチゴを黙って食べた時とか私もよく怒鳴られたもんだ」
 それとは比べ物にならないと思うけどね、とフェムは心の中で呟く。戦や戦争に快楽を見出す自分でさえ、一瞬怯んだくらいだ。余程逆鱗に触れたらしい。余計な一言で前髪を焦がされたり前触れも無く殴られたりする事は日常茶飯事ではあったが、あそこまで酷いのはさすがのフェムでも想定外だった。
「今回はどうしてそうなったんだ」
 ヨンジが目尻に涙を浮かべながら問う。そこまで笑う事だろうか。仮にも妻であるのに。
「あァ? 妃殿下だよ。妃殿下に外遊に誘われたんだ……曰く東の海で世界一のイチゴを決める品評会があるらしくてね」
「イチゴの?」
「そう。全く妃殿下も素直じゃない。イチジを誘えば良かったのにねえ、どうしても此方がいいと言うもんだから、断るのもどうかと思ったんだ」
 フェムは遠くを眺めるようにして語った。
 あの日……妃殿下が明らかにフェムに恐怖していた日。そう遠くない日の出来事であるのに、やたら過去に感じるのは何故なのだろうか。未だにウィスタリアはフェムを怖がっている。恐怖という感情はそう簡単に乗り越えられるものではない。それでも、ウィスタリアはフェムを外遊のパートナーに選んだ。互いに理解できないと知っていても、否、だからこそ、なのだろう。ウィスタリアという人物は、そういう風にできている。あの氷の仮面の裏にある本来の表情は、今の彼女とは似ても似つかないのだろう。それを融かす事なんて、きっとあいつ以外にできやしないのだけれど。
(今思えば、素質はナシ……だったかもなァ。まさかここまで情が深い方だとは。いやはや、人間というものは難儀だな)
 とはいえ、その情を秘めつつもウィスタリアはジェルマという国に適合してしまっている。何が彼女をそこまでさせるのか。思案するまでも無い。ウィスタリアにとってはほんの少しだけ息がしにくいであろうこの国で、それでも彼女が必死に呼吸をする理由などひとつしか有り得ないだろう。どうして、あいつはその事に気づかないのか。
(まァそこはお互い様か。あーあ、毎回八つ当たりされる身にもなってほしいよ、ホント)
 ぼうっとしていると、ヨンジが不思議そうにこちらを眺めていた。
「なんだい」
「いや。女の事で怒るイチジが珍しいと思って。関心無さそうなのに」
「それ、本気で言っているのかい?」
 そう問えば、ヨンジは大きく頷く。あまり深く考えないところはヨンジの良いところなのかもしれないと心の中でフェムは思う。
「……あれは酷いね、もはや執着さ。いやァ、やっぱり妃殿下の美貌の前ではジェルマの最高傑作でもおかしくなるらしい。アタシも今だに慣れないからねえ」
「私も近づいていたらそうなるのか?」
「どうだろう?でもやめておいた方がいいよ。君の為に止めておこうか」
「なんだフェム。嫉妬か?可愛いところもあるじゃないか」
 ヨンジはそう言って、フェムの顎を掴む。ぱきり、と音がして外骨格が割れた。どうやらヨンジもヨンジで、フェムがイチジの手によってぼろぼろにされたのに思うところがあったらしい。
「だったらよかったけどね。変に干渉してみろ、弟とてあれは許さないだろうよ」
 フェムは、そう言って静かに笑った。

自カプとよそカプの好きなところ全部詰めた。てーそさんいつも感謝です。

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