「だあぁぁぁ!もうだからアンタはバカメキなのよ!」
「うるさいッスよ!ピンキーもそんなんだから男女って言われるんス!!」
「うっさい黙れ」
わーぎゃーわーぎゃーさっきから二人とも同じような罵倒をしている。いい加減聞いているこっちも呆れを通り越してイライラしてくる。レッドもあいつらは、なんて呟いている。しかしよく飽きないでこうも毎日毎日ケンカできるのだろうか。喧嘩するほど……というものなのだろうが―――。
「はいはいわかったからうっさいのは両方よ!」
「あぁ、聞いてるこっちの身にもなれって」
「だってピンキーが」
「はあ!?」
「ほらほら喧嘩両成敗!!」
の言うとおり、とレッドもフォローしてくれた。ピンキーとカメキはお互い納得したような、そうでもないような曖昧な顔をしながら渋々仲直りをした。しかし―――、見ているとまだ怒っているらしく仲直りの握手で力が入っている。お互いにギリギリと歯を食いしばっているのでまるわかりだ。あぁもう。私は諦めることにした。
「痛いッスよピンキー。仲直りの握手なのに」
「アンタもねバ……カメキ」
「あーーー!またバカメキって言おうとしたッスね!?」
「もういいや好きなだけ喧嘩してなさい」
「俺達は退散しようぜ」
「そうね」
もうほっておくことにした。まあ時間が経って飽きるまで喧嘩すればそのうち嫌でも収まるだろう。後ろからは今でもバカメキだの男女だの聞こえるが。レッドとその場を離れて一旦村を出た。特に何の理由もなくブラブラと散歩することにした。その途中に景色がとても綺麗な場所を偶然見つけたのでそこへ腰を落とした。
「カメキとピンキーったら」
「毎回毎回ホントよくやるよな」
「でも、あそこまで仲がいいと逆に羨ましいわね」
「はっ、俺達までああなったら誰が喧嘩を止めるんだよ!」
「―――それもそうね」
なぁ、とレッドが急に真面目な顔をして話しかけてきた。何だと返せば先程のゼニノコーの話である。グリーンが持ってきたのはゼニノコーの対策法とは別にもう一つ封書を手に握っていたらしい。宛先は不明。ただ、内容はいたってシンプルで「スリルと刺激がほしい諸君大募集」とそれだけ書かれていたという。
「なぁにそれ?いかにもって感じの封書ね。で?どうしたいのよ」
「あのなぁ、俺ら兄弟がいくらスリルと刺激が好きだって言ってもこんな怪しいのに惹かれると思うか?」
「うん、思う」
「なんだよそれ!俺らでも惹かれねぇよ、さすがに。しかも今はゼニノコーのことがあんだろ?だから、この村から離れるわけにはいかねぇし。それに俺は―――」
と、何か言いかけたところで大きく咳払いをした。
いったい何を言いたかったのだろうか。彼の頬は夕焼け空より赤かった。
喧嘩する程(ノコレッド)
ゼニノコーってなんであそこに居たんだろうなあ……。