ぽつ、ぽつと地面に黒い点が浮かび上がる。空を見上げると、鉛色の雲が空一面を覆っていた。昼間はこれでもかというくらいに日が差していたというのに。
「まぁ……。困りましたわ。今日は傘を持ってきていませんのに」
はぁ、と彼女はため息をついた。通り雨だとしても晴れるまでには時間を要するだろう。今日はとことん運に見放されているようだ。―――隣に想い人がいることを除いては。
「通り雨だろう、じきにやむ」
「そうかもしれませんけど……。それにしても冷えますわね、寒くはありませんか?ディオ」
「別に」
こちらを一瞥しようともせず、正面を向きながらそっけない返事をよこす。何かを見つめているわけでもなく、ただ真っ直ぐに、未来を見据えているかのようなその目は美しいサファイアを想像させる。キリリと釣り上がった眉に、妙な色気を持つ唇、彼の容姿は異性はおろか同性をも惹きつけるほどに麗しい。
「そうですか……」
「お前は」
「え?」
「お前はどうなんだ、って聞いたんだ」
相変わらず正面を見ながら、ぶっきらぼうに彼はつぶやいた。
それはとても不器用な(ディオ)
あのディオに少しでも気にかけてもらえるならそれはもう愛なのでは?と思ってしまうくらいにはバグってます。